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楽しみ方 その5 「ビビッ」のもう一歩先へ 〜韓国書籍ver.〜 - キタカガヤフリー 2022 オータム&アジアブックマーケット

楽しみ方 その5 「ビビッ」のもう一歩先へ 〜韓国書籍ver.〜

誰かと出会った瞬間に「あ、私はこれからこの人と仲良くなっていくんだろうな」と直感的に感じたことはないだろうか。いわゆる「ビビッとくる」というやつ。私には度々この現象が起こっているのだが、その「ビビッ」はかなりの高確率で当たる。つまり本当に仲良くなるのだ。とにかく、それが起こった人とは話が早い。出会って数時間なのに、まるで十数年も付き合ってきたかのように“すでに共有しているもの”がたくさんあったりする。思うに「ビビッ」は、服装や髪型だけでなく、声色に話し方、表情のつくり方などから、無意識のうちに”今の自分”との相性を読み解いて起こるものなのだと思う。

本について言うならば、表紙のデザインや紙の手触り、パラパラとめくって見える写真や文字組みの雰囲気から得られる情報が、人にとっての「見た目」や「声」にあたるだろうか。アジア本との出会いも一期一会なので、自分の直感を信じ、ビビッと惹かれるものを選ぶのがいい。

ASIA BOOK MARKETに足を運ぶ度、私の中には一目惚れの嵐が巻き起こる。大胆な色使い、漢字やハングルの面白いフォント、日本では見かけないサイズや形状。魅力的な見た目の本がわんさか並んでいて、もはや「ビビビビビビビビビビビビッ」状態。

…が、ここで1つ大きな問題が生じる。それがこのリレーコラムのテーマでもあるのだけど、「言葉がわからない」という巨大な溝をどうやって乗り越えるか、といったものだ。

ビビッときたにも関わらず、結局手に入れることなく終わってしまった本が、実はたくさんある。あれもこれもと散々目移りした挙句に煮え切らず、結局1冊も購入せずに帰った…なんてのは、ズバリ「言葉がわからない」という溝にはまってしまったからだ。

他のインターンのみなさんが示してくれたヒントは面白かった。そこまで堅くならず感覚的に楽しんでもいいんだな、何も全てを理解しようとしなくてもいいんだな、と肩の力が抜ける感じがした。たしかに人間関係もそう。初めからわからない部分を埋めようとするよりも、わかる部分を見つけた方が気軽で楽しい!

…けど、ちょっと待って。漢字を使用している台湾や香港の書籍ならできる“なんとなく読み”、文字そのものが違う韓国の書籍では難しい…!私は韓国・朝鮮語をゆる〜く学び続けているので、ハングル自体は読める。だけどハングルはアルファベットのように音を表記する文字だから、それ自体を読めたところで漢字のように「部首などから意味を予想する」なんてことはできないのだ。

さらに好きなジャンルも追い討ちをかける。人生で出会わなさそうな人の日常や、他人には知り得ないような誰かの心の奥底、自分では気にも留めないような話なんかが描かれたエッセイ漫画の類が好きなのだ(当然ながら『ちびまる子ちゃん』は全巻持っている)。それが海外の作品となると、さらに興味をそそられる。たしかに絵を見ればどんなシーンかなんとなく想像がつくけれど、エッセイ漫画はやはり「言葉」があって成立するもの。そこを抜きにして作品を楽しむのは、正直かなり難しい…。

「何書いてるかわからんしな…」と諦めたくせに、家に帰ってから「あの本、どんなこと書いとったんやろなァ…」と未練がましく思い出すのはもう嫌だ!というわけで、ここはある種の正攻法。ビビッときた韓国の書籍との交流をアシストしてくれる翻訳アプリ「Papago」を紹介したい。

恐らく翻訳機と言えば「Google翻訳」を使っている人が多いのではないかと思う。それもいいけれど、この「Papago」は韓国のNAVERが提供している翻訳アプリ・サイトのサービスなので、韓国語⇄日本語の翻訳に強いのだ。


今回は私が購入した、チェ・ジュンヒョクの『病院探検記』(jjokkpress)を例に挙げてみてみたい。この作品は「PKD(多発性嚢胞腎)」という難病を患う主人公によるエッセイ漫画。目立つけれどどこか有機的な黄緑×綺麗な青の二色刷りからなる表紙は、つい撫でたくなるような手触りの良さ。その見た目と、仲の良い韓国人の友人が入院したことからこの本に手を伸ばしたのだった。

病院探検記

原因不明の病気の正体を探るため、幼い頃から数々の検査を重ね、何度も入院を繰り返してきた作者。その“病院探検”の様子がフィクションを交えながら綴られている。さて、1ページだけ紹介すると、こんな感じ。

病院のベッドで移動させられている1コマ目…間に家具(?)のコマが続き、主人公が何か衝撃を受けている様子…何が語られているのか気になる。それも「Papago」の手にかかればご覧の通り。使い方は簡単、アプリを起動してスマホのカメラで写すだけ。

免疫に異常が見つかり個室に移動した主人公が部屋代を心配している、という深刻ながらもリアルな描写でした。

当然、直訳なので多少不自然な部分は出てくるし、(特に手書きの文字は)認識してもらえない箇所もあるが、やはり意味がわかると断然面白い。自分の興味の範疇にありながら未邦訳の作品は山ほど溢れている。「言葉がわからない」を理由に、「ビビッ」を諦めるのは本当にもったいない。こんな手軽に外国語を翻訳できるなんて、ドラえもんのひみつ道具「ほんやくコンニャク」をポケットに忍ばせているようなもの。使わない手はない。


…さて冒頭の話に戻ると、「ビビッ」についてわざわざ「 “今の自分”が無意識に〜」なんて書いたのは、直感の確かさと同時に限界を感じているからでもある。今親しくしている友人たちの中には、出会った瞬間にはビビッとこなかった人もたくさんいるが、そういうビビッとこなかった人たち(と書くとなんか失礼な感じがするけれど)との交流こそ、全く予想していなかった新たな驚きを与えてくれることが多い。そして、そういう驚きは”今の自分”の感覚や常識をグググッと押し広げていってくれる。

だから本当は一目では「ビビッ」とこない人や物事、本ともどんどん出会っていきたい。そのためにも私は翻訳機などを駆使しつつ、言葉を(ゆる〜く)学び続けるだろう。アジア本との付き合いはまだまだ始まったばかりである。さて、今年はどんな本に出会うだろう?

油谷


東アジア本の楽しみ方

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