出かけるのは嫌いではないのですが、人の多いところはもちろん、出かけるだけでも情報量が多く、帰宅してからどっと疲れます。次の日もしんどいです。なので気を抜くと、家の中で休日を過ごしてしまいます。
(30代、女性、デザイナー)
週5日働いた疲れが取れてないから土日出かけたくない、というのも理由の一つにあります。
もっと外に出て情報摂取したり人と会わないとなぁと思っているのですが、義務感で出かけるのも違うなと、考えるのが面倒になってきました。
外へ出かける日と、家の中で過ごす日があってもいいと思いつつバランスよく過ごせません。
藤井さん:
僕は、できるだけ予定を調整して、週二日は家でダラダラしたいんですよ。猫と遊ぶとか、漫画を読むとか。でないと精神的にも肉体的にも、もたないんですね。切り替えていかないと。必ずしもそれができているわけではないですが。でもこの人は、そのダラダラすることができる状況なのに、それをやめてまでして、情報を追い求めたいってことですよね。まずその情報に、そこまでの価値があるのかをいったん考えた方がいいですね。
編集部:
なるほど。これは本当にただの推測なのですが、この方は、週5日出勤して会社にいる時間が長いので、休日に出かけることで、何か新しいことをインプットできたらいいな、ということなんじゃないかな、と考えたのですが、どうでしょう。
藤井さん:
なかなかこの相談は難しいですね。
例えば僕の場合は、その日を休日として家にいたいのに、お店の営業や本屋以外の仕事の都合で、外に出て行かなくてはならないことがあるわけですよ。それで、まあ結果的に、外出して良かったなということはもちろんあります。ただ、この方の場合は、この相談を見る限り、外からは呼ばれてないわけですよね。外がこの人を必要としていないわけじゃないですか。僕だったら、家にいたいけど、呼ばれてるから出るかどうか……ということは考えますけど。
この人って、賃貸に住んでます?
編集部:
どうでしょう……?
藤井さん:
もし賃貸なら、家賃をそれなりに支払ってるわけですよね。食費や光熱費、服などの買い物よりも、家にかける費用が高いわけじゃないですか。多くの人はそれでもなぜか、家にいる時間を、たいして大切にしていないですよね。家賃を支払っている分、家を味わえていないんですよ。
編集部:
確かに。
藤井さん:
だから賃貸なら「家賃分は、おらしてもらうぞ!!」っていうぐらいの意気込みが欲しいですよね。
編集部:
家を満喫するぞ!という(笑)
藤井さん:
そうですよ。あと、この方が求めたい情報というのは、具体的にどういうことを言ってるのでしょうか。職業はデザイナーということなんで、少なくとも勤務時間は人と会ったり、情報収集できているわけじゃないですか。
編集部:
では、休日は外に出ないと!!と無理するよりも、まず会社でもっと情報交換をしてみては?という感じでしょうか。
藤井さん:
でも、この人きっと大阪で仕事してるんでしょう? だとしたら、基本的にしょうもない人しか、いないじゃないですか。
編集部:
……ショック(笑)
藤井さん:
僕だったら、しょうもない人しかいないところで、密なコミュニケーションをとるほど、労力をかけられないですね。そもそもこの人のいう情報って、いわゆる関西圏の話をしていると思うんですよ。
編集部:
おそらく、そうかと思います。
藤井さん:
関西の街や人の情報とか。でもデザインって、そんな世界の話じゃないじゃないですか! 僕からしたら外に出るとなれば、家から大阪や東京、さらには国を超えて、韓国、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパと、いろんな可能性を考えるわけですが、この人はきっと、心斎橋とか梅田とか、そういう次元で考えてると思うんですよ。そんな次元で情報に触れようが人と会おうが、インプットしても、何もアウトプットとして役に立たないと思いますよ。所詮、関西の中なんで。この人は、典型的な関西トラップにかかってるんです!
編集部:
範囲が決まってしまっている、と。
藤井さん:
いつの間にか無意識に「頑張っても京都かな」とか、そういうレベルの思考になってるわけですよ。どうせ外に出るならもっと外に出ればいいじゃないですか。一回、海外に行くのがいいと思いますよ。もっと遠くに出ることで初めて、出会ったことのないデザインや全く価値観が違う人に会える。関西の中で「外に出る」とか「情報を収集する」というのは、もう関西でデザイナーやってるなら、堂々巡りのことなんですよ。遅かれ早かれ、出会う人やデザインは決まっているという。イメージできる範囲の人や物事と出会うわけです。それって予定調和をこなしているだけなんです。これが関西トラップ。
この人がいう「外に出る」の「外」は、何を指しているのかがよくわからないので「外」のイメージを聞いて、再度相談に答えられたらいいんですけどね。
編集部:
では、イベント当日ぜひ再度相談してほしいですね。
藤井さん:
そうですね。どうして「外」に、そういうイメージをもっているのか? じゃあイメージできないことは何なのか?と、つきつめていく。デザインというのは、イメージできないものをどうやってイメージして落とし込んでいくかということだと思うんです。それがデザイナーの仕事じゃないですか。
全く想像がつかない場所に行ってインプットして初めて、その後どこかの機会でアウトプットに活かせるかもしれないわけで。だから人は旅をするし、それが外に出るって言うことですよ。この人はきっと電車で30分とかの話でしょう? 外に出るって言うのは、そういう話じゃないんですよ。
この方は、無意識に自分の可能性を縮めて、その縮めた世界で悩んでいるわけですね。
編集部:
なぜなのでしょう。
藤井さん:
これは今の世の中の風潮もあるでしょう。ちょっと違うことを言えば、すぐ叩かれる。おとなしいことを言わないといけない。みんな無意識に萎縮しているんだと思いますよ。だからこの方の状況は、ある意味、日本社会の現状を物語っているわけですね。
編集部:
意外と、奥が深い。
藤井さん:
誰も得をしないのに、相互で監視し合う日本社会。この状況をなんとかしないといけないですねえ。
総括 藤井さんからのアドバイス
1:その「情報」に、価値はあるのか?
2:抜け出せ! 予定調和の関西トラップ
3:「外に出る」とは、全く想像がつかない場所へ身を置くことだ!
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